竹ノ内豊さん主演、バカリズム脚本で話題になったドラマ「素敵な選TAXI」は、いつも主人公枝分(えだわかれ)のこんなセリフで始まりました。
1.人生は、分岐点の連続である。
右に進むべきか、はたまた左に進むべきか、人生は選択によって成り立っていると言っても過言ではありません。仕事をする上でも、自分の勤める会社が、また自分自身が「選ばれる存在かどうか」というのは、大きなポイントです。
私は、20年以上飲食の世界に携わってきました。売り手の側からすれば、品質のよい商品(料理)とサービスを提供するのは大前提なのですが、それだけでお客様に「選ばれる」訳ではありません。
勿論、「有名なソムリエがいる」とか、「3つ星レストランで修業を積んだシェフの作る料理が絶品」、とか「有名デザイナーが手がけたお店」というのは話題になりますし、また集客のきっかけになるのは事実です。
しかし、我々がよく言っていたのは、「覇気のあるお店にはお客様が来る」というものです。
つまり、活気があったり、「おいしいものを食べてほしい」という熱意や「お客様に喜んでいただきたい」という思いの詰まったお店には、お客様が引き寄せられて来る、ということです。
話は変わりますが、女性が結婚相手を選ぶ時はどうでしょうか。
勿論、これから一緒に生活をしていく訳ですから、どんな仕事をしているか、それは安定しているか、誠実かどうか、趣味趣向が合うかなど、大事なことはたくさんあると思います。
しかし、「この人と一緒に生きていこう」という決め手になるのは、その人の目の輝きだったり、「ずっと大事にしてくれそう」とか、「この人とならやっていけそう」と思える何か、情熱やエネルギーなど、結局は、形にないものが判断基準になったりするのではないでしょうか。(女性を例にあげましたが、逆も然りですね。)
2.武器を携える前に
進学や就職、転職など、人生には様々な分岐点があります。そういう時、資格やキャリアなど、できるだけ第三者が見て分かりやすいものを手にして入れておきたいと思うものです。
いわば武器のようなものです。
それがあれば有利に事が運ぶかもしれない訳ですから、持っておくに越したことはない、と思うのは当然です。
しかし、上に述べたように、人が「選ぶ」基準は様々で、しかも形のないものが最後の判断基準になったりします。
では、何を身につければいいかという話になるのですが、極論は、人間自体を磨くということに行き着くのではないかと思います。
ここぞというときに力を発揮できる人は、日々自分を磨いている人です。磨いていく中で、味わい深い人間になり、人生にも厚みがでてくるのだと思います。
後は、「選ばれる」ためによく見られようとするのではなく、ただ、ひたむきに目の前のことに打ち込む、ということも大事だと思います。誰しも一生懸命取り組んでいる姿は美しいものです。輝いているものです。
それらに加え、必要な武器を携えることができれば鬼に金棒ですね。でも、身につける順番は間違ってはいけないと思います。まずは、自分を磨くこと、そして、目の前のことにひたむきに取り組むこと。そのベースがあれば、選んでくれた人を後悔させることにはならないはずです。きっと。
小野正誉
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