【飯田真弓】特別寄稿~運命の出会い。エコラージュ®

 飯田真弓

税理士。産業カウンセラー。日本芸術療法学会正会員。初級国家公務員(税務職)女子1期生。26年間国税調査官として7カ所の税務署でのべ700件に及ぶ税務調査に従事。在職中に心理学を学び認定心理士の資格を取得。2008年に退職し12年(社)日本マインドヘルス協会を設立し代表理事に。著書『税務署は見ている。』(日本経済新聞出版社)のほか、DVD『税務調査に選ばれる企業の共通点』(H&W)他がある。

1.カウンセリングを学んだきっかけ

小学生の頃から、自分はなぜ生まれてきたのか、どこから来て何処に戻るのかというようなことをよく考えていたように思います。

夜になると毎日「眠られへん…」と訴えていました。当時、不眠症というような言葉もなかったと思うのですが、次の日、学校がある平日であっても、両親と一緒に9時から始まる映画を最後の11時過ぎまで観るということがよくありました。女子同士の付き合いが苦手で、学校では男子に交じって遊んでいたように思います。口から出る言葉がストレート過ぎて、自分では気づかずに人傷つけ、友達になれそうな人が表れても遠ざかっていったようにも思います。

一方で、自分のことでは腹が立たないけれど、他人が理不尽な目に会っているのを見ると許せなくなり、とことん正義を主張しようとするところがありました。母親から「普通でいいから…」とずっと言われ続けていたのは、私はきっと、どこかコミュニケーションという点で、異常な子どもだったのかも知れないと最近思うようになりました。

カウンセリングや心理学への興味はそのような、自分でも手に負えない、自分自身を分析したいという思いがあったのだろうと思います。高校生の頃から暇さえあれば、本屋さんに通い心理学やカウンセリングの本を読み漁っていました。

小説も読むのですが、すぐに感情移入してしまうので、夫からは、「そんな本は読むな!」という読書禁止令が出されました。現実の世界と空想の世界の境目がわからなくなるのです。いくら本を読んでも自分が何者なのかという答えは見つかりませんでした。

何かひとつ心理学の資格の取得を目指して学びたいと思い心理相談員という講座があることを知り、エントリーしようとしたのですが高卒の私には受講する資格がないということが解りました。そんな中、通信制の産業カウンセラーの講座があることを知り、受講しました。けれども、通信制では傾聴スキルを習得することができず、資格試験に合格することはできませんでした。

次男が小学校に入学すると、自分のノルマを全て果たしたような虚しさに襲われ、今度は、通信制の4年制大学である放送大学に入学し心理学を学ぶことにしました。4年間で124単位を取得し、卒業後、認定心理士の資格を得ました。認定心理士という資格は単に、大学で一通りの心理学を学んだということの証明であり、実際に使える資格ではありませんでした。

2. 進めるにあたっての挫折やモチベーションの保ち方

「もっと、使える心理学があるはずだ!」とネットで探しまくり、見つけたのが「コラージュ療法」でした。そして、こころの病の治療法をこころの病の予防や、こころの健康維持増進の手法として社会に広めたいと活動をするために、私は国税局を退職しました。国家公務員を退職までした私に対して「なぜ、飯田さんはそんなに自信があるのか?」と色々な人から質問をされました。

皆が思うほど、その当時の私は自信など全くありませんでした。けれども、生きづらい私が自分の生まれてきた意味に気づき、そのことを成し得ることが自分に与えられた使命だと気づいてしまったのです。「自信はないけど、信念はある!」覚悟ともいえるような言葉が、内側からわいてきたのです。

エコラージュ®とはまさに運命の出会い。信念の上で、私は必死に学び体得をしました。朝日放送「おはよう朝日です」に出演した際、吉本興業のタレントジャルジャルを一喝し、司会の宮根誠司氏が「これはおもろい!」と絶賛されました。その後、NHKニュースでも「今、関西で 人気のメンタルヘルス研修」として取り上げられました。現在、私はこの「コラージュ療法」を元に「エコラージュ®」を心理ケアの手法として商標登録し、社員研修などでワークショップとして実施しています。今年になってからは国税庁の人事部から研修のご依頼をいただきやっと軌道に乗ってきた感があります。

日経新聞社からは二冊を本を出版し「税務調査に入られにくい企業を構築するセミナー」は好評を得て、またメンタルヘルスの講座も増えて日を追い、年を追ってくごとに順調にいっているように思いますが、それでもまだ、自分自身のことをなぜか資格難民だと思うことがあります。

資格とビジネスとは即リンクしていないと思います。資格を取ったから、即、それを仕事として報酬をいただけるというものではありません。国家資格である医師だって最初は勤務医で掛け持ちしなければなりません。弁護士だって“軒弁”(ノキベン)と行って、最初は軒先を借りてのスタートです。

人様のお役に立つことでお金をいただくなんてそうそう簡単にはできるものではないと思います。それでも、私は、人生の後半全てをかけて、こころの人間ドックを文化にしたいと思っています。その志が立ってしまったのです。進むしかない中で人に役に立てる資格として今後は次世代の育成も視野を置いて進んで行きたいと思います。

飯田 真弓

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