【松尾】水戸黄門の印籠

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「今年こそ、合格!」と毎年年明けに流れるCM。

 

それに流されて、「そう、私も!」と決意を胸に秘めた経験はありませんか?

 

私も、年末に出される雑誌の星占いに「○○資格を取ると運が開ける」なんて書かれているとついついどんな資格なのか検索してしまいます。でも来年の年明けにも同じ事を言っていないようにしたいもの・・・ですね。

 

 

 

1.ところで資格って・・・

 

 

皆さんは「官から民へ」の小泉・竹中両氏の「改革路線」は資格についても影響があった事はご存知でしたでしょうか。この両氏の掲げる規制緩和の流れの中で国家資格にも大幅な構造改革がありました。

 

 

例えば、小学生も受験をしている、一番良く知られている資格が「英検」こと「実用英語技能検定」。こちらの試験は、2005年に文部科学省の技能審査認定制度が廃止されたため、2006年、文部科学省「後援」の検定になりました。つまり民間資格になったのです。(2012年から公益財団法人日本英語検定協会が実施)

 

 

この改革路線、市場主義の原理では従来は国家資格となったかもしれない資格が、民間の資格となっているものも誕生しています。国が資格に関与すればするほど、国の出費も必要になり、財政支出削減に逆行するので政府としては相容れないわけです。

 

 

この結果、民間資格が華々しく登場しています。「えっ。そんなものまで」という資格も珍しくありません。例えば、NHKの朝ドラで一躍人気観光スポットとなった「鳥取県境港市」。

 

 

こちらでは「境港妖怪検定」があり、合格すれば“妖怪博士”になれる検定です。こういった、新しいニーズが見込まれている様々な分野は、資格試験を立ち上げる側の新しいビジネスチャンスの場になります。そう考えると巷に民間資格が「検定(資格)」という名称を使って溢れているのも納得がいきます。

 

 

 

2.客観的な証明書

 

 

官民あわせての多種多様な資格試験。民間資格には法的な制限がないため(コンプライアンスを守るのは当然ですが)、今後はこの民間資格市場は新しいニーズを満たすかなり魅力的な市場になるとおもいます。

 

 

なぜなら、私も含めて多くの資格チャレンジャーは資格という自分自身の「客観的な証明」を求めているといえます。

 

 

「自信がないから、どの程度のものなのか知りたい」とか、「これは自分の得意分野だけど、それを客観的に証明してほしい」といったような気持ちです。

 

 

大学生から「就職に有利な資格は何ですか?」という質問を受けます。「TOEICが何点あると、就職に有利ですか?」という質問も、こんな気持ちからかもしれません。

 

 

それは、その客観的な証明(資格)を自分の能力アピールとして、就職・転職や社内の人事考課に役立てたい、あるいは、新しくチャレンジするマーケット(分野)での一種の「水戸黄門の印籠」として参入したいという気持ちにもつながっていきます。

 

 

業務に直結する資格を取る事で業務に自信が出てくる、という体験談は「資格をとるといい事がある」という成功体験の一つ。同様に、知的財産検定、ホスピタリティ検定、IRプランナー、EB(勤労者福祉)アドバイザーなどとなれば、社会の新しい分野への門戸でもあり、今後のビジネスモデルの創成にもつながっていきます。

 

 

 

 

3.「資格ランキング」の甘いわな

 

 

 

こうあげていくと、「資格ランキングとしてどれが有利ですか?」、「資格ランキングの上位資格をとりたいのです」と言う質問も聞こえてきそうです。

 

 

『日経BIZアカデミー』でも「仕事で使える資格は何か〜2015年資格ランキング」が掲載されている程、「資格ランキング」ってちょっと好奇心をくすぐるものがあります。通信教育でも「上期の人気講座 トップ10」とかって、HPにあがっている事ありますよね。

 

 

でも、資格を取るのに本当にそんな決め方でいいのでしょうか。

 

 

「資格を取ること」は、いわば自己投資です。銀行に預金をする時に利率を確認したり、株式に投資をする際に、株主優待を吟味したりするのと同じように、目先の収入アップや仕事を取りに行く事よりも、長い目でみて自分の本当の力(自己実現が叶って)になって収入アップを狙えるようなことにお金や時間を費やしていきませんか。

 

 

立派な資格であっても、ほかに自分の強みがないと単に資格を持っているだけでは、ずっと「資格難民」のままで終わってしまいます。「資格ランキング」に惑わされて、「友だちもとるからなんとなく取ってみよう」等お無計画に資格を取りに行かないようにしてみませんか。

 

 

折角、取った資格にかかったお金と時間が「不良債権」とならないようにすること。

 

 

資格を取ろうと決めた時に、このマインドチェンジだけでも、合格後の実力のつき方と、「運」の運ばれ方は随分と違ってくるものなのです。

 

 

松尾規子

 

 

<参考>

『日経BIZ アカデミー』 「仕事で使える資格は何か〜2015年資格ランキング」

仕事で使える資格は何か~資格ランキング2015 | NIKKEIリスキリング
従来から知られている資格に加えて、新しい資格も続々と登場する中、本当に仕事で使える資格は何なのか。日本経済新聞社と日経HR(日経キャリアマガジン)は、2014年11月にビジネスパーソンへのアンケート調査を共同で実施。「取得している資格の満…

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