【先輩からのひと言】
就職して10年程経った時に、「碇さん、何かしなくちゃダメよ」と先輩からアドバイスを頂きました。その頃丁度、仕事にも脂が乗ってきたところで、楽しくて仕方がなかった時期でした。いわゆる『自己啓発のすすめ』であり、仕事が乗っているからこそ、それにかまけていてはいけない、仕事とはそういうものだと教えて頂きました。
そこで、取り掛かったのは、「日赤救急法」の資格からスタートし、「唎酒師」「コーヒー&ティーアドバイザー」「食生活アドバイザー」など仕事に関連した資格を取り始めました。
資格の勉強を進めていく中で、ロンドンに行って紅茶を購入する時にラベルが読める、食品管理に関しての知識やお客様との会話が楽しくなり、更に美味しいお茶やコーヒーを入れることができ、仕事の幅が徐々に広がっていく心地よさを感じていました。
【今でも生きる資格】
新人教育をするようになって、それまで体得してきた仕事を振り返ることができ、「サービスとは何ぞや」と思う様になり、「サービス接遇検定」「ビジネス実務マナー検定」など実践ではやっていることを理論の面からの勉強をし始めました。
サービスやマナーにも基本や理論があり、それを実践し、創意工夫をしながら、経験を重ねていくことで確立していくものであり、自分の経験だけに頼ってしまいがちの仕事の中に、自分とは違う見方からの接客術が見い出せていけたと実感しました。
資格試験を挑んでいた時期に、上司との人事考課の面談の中で、「碇さんは資格マニアなの??」と言われたことがありました。それは、好意的な捉え方ではなく、「個人的能力よりも、もっと会社のために力を尽くしてほしい」とのことでした。
上司の方が仰っていることはよく分りましたが、当時から私は、まず自分の知識や能力を上げていくことで、VIPからお子様まで、満足いく会話が出来ることや常にお客様の方を向くことができるクルーを目指していたので、気にせず資格の勉強を続けていきました。
それが今、複数の大学で資格取得講座を担当させて頂いているので、自分の行動は間違っていなかったとホッとしています。
【新たな資格にトライ】
23年4か月お世話になりました会社を退社し、自分の経験を活かしたキャリアの仕事をしたいと考えていましたが、著書を2冊出したものの明確な目標がないことに気づき、時間が許す限り、多くの方(色々な業種の方々)にお会いして、アドバイスを頂きました。
その中で、現在、非常勤講師をさせて頂いております短大の教員の方にキャリアカウンセラーの資格を取ることを勧められました。実は、著書の1冊に、既に肩書を「キャリアサポートアドバイザー」としていた関係上、資格を取ることが必須であることが分かっていましたので、最短時期・一発合格を目指して養成講座に通い、キャリアカウンセラー資格取得の勉強を始めました。クラスは良い刺激にもなり、今でも仲良くしている素敵な仲間との出会いもありました。
勉強は思っていた以上に大変で、大学受験や前職の新人訓練を彷彿させるものでした。闇雲に覚えるのではなく、6冊あるテキストをノートにまとめ、ひたすら過去問題・論述文を書いて1次試験に臨みました。ペンを持つ中指にはたこができ、毎日夢に現れる黒い人物が「寝てていいのか、勉強しろ」と言われ続け、追い詰められましたが、何とかやり切ることが出来ました。
1次試験結果の後、「燃え尽き症候群」に陥ってしまい、2次試験の勉強が手に着かなくなりましたが、対策講座に参加して「私のカウンセリングとはこういうものかなぁ・・・」と、試験の4日前に何となく掴み、後は「私らしいカウンセリングをしよう」と開き直り、「不合格でも次があるし、死にはしない」「クライエントだけに集中」など呪文を説きながら会場に向かったことを覚えています。
【資格の活かし方】
「資格」とは、「趣味・興味」で資格を取ったからといって、すぐにその資格を活かせる仕事に就けるとは限らないのです。その道でスペシャリストが必ずいるので、その方たちと肩を並べられる実力をつけ、それをアウトプットできるところを探す必要があります。
「興味ある資格」とは、自分の満足感を充たすものであり、見返りをすぐに期待しないことです。しかし、いつか誰かの目に留まることがありますので、辛抱強く温存しておくことも大事です。
「仕事に就くための資格」とは、取得したあとが大切で、自己研鑽と共に行動力を発揮して、自ら機会を得られるように努力をし続けることが必須条件です。
「興味のある資格」と「仕事に就くための資格」が融合した時に、その人にとって最高の資格人生が送れるのではないでしょうか。
【資格の価値】
過去に取得した資格(前職の時に取った資格)が今になって活用できていることは、とてもラッキーではありますが、過去から現在まで無意識にキャリアのつながりを考えて、資格取得の選択をしてきたように思われます。自分が「この資格を取ろう」と思った資格には、無駄なものはないということです。
その資格に頼って過度な期待をするよりも、コツコツその資格に磨きをかけていくことが自分の自信になり、結果的に人に認めてもらえ、『資格の価値』を上げていくものと確信しています。
私の今できることは、「保有資格に磨きをかける」ことと、「資格取得の素晴らしさ」を人に伝えていくことだと思っています。これからもマイペースで頑張ります!
碇ともみ キャリサポートアドバイザー
東京生まれ。大学卒業後、日本航空株式会社に客室乗務員として入社し23年4か月の乗務経験を持つ。(乗務時間:約1万7千時間)
退社後、アメリカ(LA/SD)でのキャリア支援を経て、キャリアカウンセラー(CDA)・メンタル心理カウンセラーなど資格を取り、本格的にキャリアに関する仕事を始める。現在は、奈良佐保短期大学非常勤講師をはじめ、多数の大学でキャリア講座を担当。その他、女性の再就職支援、資格サポート講座、マナーやホスピタリティ講座など全国に活動の場を広げる。著書「受かる」就活女子レッスンはPRESDENT Online にて引用され(2013年7月「就職の語られ方2~4」)、更にPRESIDENT「本の頁」に選出される。 また、日本女性学習財団認定 キャリア形成支援士、サービス接遇検定1級、ビジネス実務マナー検定1級、秘書技能検定準1級など多数の資格を保有している。
碇ともみ オフィシャルHP:ikaritomomi.com
著書:「受かる」就活女子レッスン 幻冬舎ルネッサンス
元JALキャビンクルー碇ともみの幸せつかむ女子力UP術 東京図書出版
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